綿雲のしるべ

思い浮かんだことを置いておく場所。読書感想ブログ

例え話を多用する人

 抽象的で分かりづらい事柄を説明するとき、例え話はとても便利だ。

 私もよく「あれ、うまく伝わってないな」なんて感じる時は具体例を持ち出して説明したりしている。

 しかし、社会人になっていろんな人と話したり、商談の場に居合わせたりするうちに、例え話やそれをやたらと使いたがる人たちに警戒心を持つようになった。

 あまりに話し手に都合の良すぎる道具だからだ。

例え話は詐欺師の手法

 会社の会議や商談とかで例え話が持ち出されるたびに、なんだかもやっとすることが多かった。

「それってなんだか違くない?」

 でもそのもやもやが何なのかわからない。ある時気付いた—都合よくごまかされてるんだなって。

 

例え話というのは、話し手に都合のよく脚色された分かりやすいイメージを引用してくることで、細部をごまかし、聞き手を納得させ、話し手の主張を通す詐欺師の手法だ

と、私は思う。

 例え話を持ち出されて奇妙な違和感を感じたことはないだろうか。きっとあなたのその直感は正しい。そこでは話し手にとって都合の悪い何かが巧妙にごまかされてしまっている。初めはなんだかよくわからない抽象的な事柄を述べ立てて、聞き手の理解が追い付いていないと見るや否や、急に極端なくらいわかりやすい例え話を持ち出してくる人たち。こういう人の話す内容には特に繊細な注意を払う必要がある。とりわけ、創作の例え話を主張の根拠として提示してくる人種、そんな人の話は、それ以上聞く価値なんてない。

全く同じ事例なんて存在しない 

 例え話は話し手による印象操作ツールだ。とはいえ、使い方を間違えなければこれほど何かを伝えるのに便利な道具もないと思う。余計なトラブルを避けるためにも、世の中には完全に同じ事例なんて存在しないということを念頭において、言葉の一つ一つに注意を向けて疑ってかかることが大切だと思う。「よそはよそ、うちはうち」。

 私がまだ小さかったころ、両親や先生のお決まりの文句、「あなただって同じことされたら嫌でしょ?」を聞くたびに、「嫌じゃないからやってるんだけど・・・」という答えをぐっとこらえていた。

 ・・・あんまりいい例えじゃなかったかも